建築士制度の改革
いま建築士制度が大きく変わろうとしていることをご存知でしょうか?
6月27日、国土交通省が耐震強度偽装事件の再発防止を目的とした、制度改革素案が明らかにされました。
・耐震偽装防止、全1級建築士に試験…不合格者は降格(読売新聞ニュース)
・1級建築士は2級に格下げも 国交省が制度見直し(住宅新報社ニュース)
・建築士制度見直し素案を公表・国交省(日本経済新聞ニュース)
31日に行われた国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会の最終答申案では、
構造設計、設備設計について高度な知識などを持つ 1級建築士を「特定構造建築士」「特定設備建築士」
と位置付け、 一定規模以上の建築物の設計図書作成や法適合性証明を義務付けるという結論になりました。
また、建築士事務所に所属する建築士に対しては、一定期間ごと の講習の受講義務を課し、受講効果を確認
するための修了 考査を実施することに。
まあ、これらは妥当な案かな・・・と思います。
私の専門は構造です から「特定構造建築士」を取得しないといけませんが、それによって 信頼が得られて仕事が
増えるのであれば、勉強しようかなと思います。
しかし。。。最終報告案は、
1.建築士制度の抜本的な見直し
2.瑕疵(かし)担保責任履行の実効性確保
3.建築行政での監督体制・審査体制の強化、建築関連情報の管理・ 提供体制の整備
を柱に構成しているそうですが、今回の事件に関して言えば 最も早急に整備しなくてはならないのは、
3ではないかと思えるのです。
確かに、建築士のモラルについて問われる事件だったと思いますが、 姉歯氏はモラル
に欠けていたのであって、知識に関して問題があったのではないと思います。
ですから、知識を問う「特定建築士」制度は少しピントが外れているように思うのは私だけでしょうか。
むしろ、偽造を働くことがない人間教育をする。
とか、偽造してまで 仕事をとらないと生活できない建築士の報酬基準の見直しが先では ないでしょうか?
また、私の知り合いに建築主事がいますが、役所の建築指導課は、 ある一定期間で、持ち回りするそうです。
ですから、構造の専門で なくても、数ヶ月間は構造審査係で働き、その後他の部署に移ると いったことが実際に
行われているそうです。 構造計算書なんて、構造の専門でも見るのは大変なのに、専門外の 人に偽造が見抜ける
わけないと私は思います。
そういった建築主事の資格こそ、構造・設備に特化した資格をつくるべきだし、その方が先ではないでしょうか?
行政の審査体制については、特定行政庁が1年以内に具体的な整備 プログラムを策定・公表とありますが、
今回の専門分野別建築士制度 の策定に比べ、随分とゆっくりだこと。と思うのは私だけでしょうか?
今年の一級建築士学科試験は、鬼のように難しかったそうです。
別に難しくしてもいいのですが、あの試験に受かったからといってよい建物をつくる、よい建築家になるという試験に
なっているので しょうか?
建築という仕事は空間を創造する素晴らしい仕事だと思います。
建物によって私達の生活は大きく変わります。 よい建物をつくる若い建築家を我々は懸命に育てていかなくては なりません。
モラルと誇りを持った建築家を。構造家を。 有名でなくても、建築士全員がそうでなくてはいけませんね。 でも、報酬が少ないのに、誇りだけは高く、というのは ちょっと無理な話では。。(武士は食わねど・・じゃあるまいし)
今のように制度を厳しくして、報酬も厳しいままでは、若者が建築に 夢を持ってくれなくなるのではないしょうか?
素晴らしい仕事だと思ってくれなくなるのではないでしょうか? 同じ厳しい勉強するなら、医者や弁護士になった方が、
儲かるし・・。 実際にそんな声をきいたこともあります。 昔の日本の建物には、本当に美しい独特のものがたくさんあります。
私たちはその感性と技術を後世に伝えていかなくてはならないし、 そのための努力をこれからはより一層していかなくてはならない
と感じました。